リースバックとは、家を売った後もそのまま住み続けることができる仕組みです。
家を売却すると同時に、買主と賃貸借契約を結んで、借家人として住み続ける方法です。
この方法は、特に高齢者や退職後に資金が足りない方、または生活費を得るために自宅を現金化したい方にとって役立つ選択肢となります。
通常、自宅を売却すると引っ越しをして新しい場所に住まなければなりませんが、リースバックの場合は家を売っても引っ越す必要がなく、そのまま住み続けられるのが大きな特徴です。
リースバックのメリット
リースバックは借家人として自宅に住み続けることができるのが大きな特徴です。
そのため、次のようなメリットがあります。
売却したお金を生活費や医療費、ローンの返済などに使うことができます。
特に年齢を重ねた方や退職後の生活資金が足りない場合には、手元に現金が入るため経済的に安定します。
リースバックなら家を売った後もそのまま住むことができます。
住み慣れた家や近所から離れずに生活を続けることができるので、引っ越しの手間や精神的な負担がありません。
家族や友人、近所とのつながりも維持できる点が大きなメリットです。
通常の売却だと、引越しをして不動産を明け渡さなければなりません。
一方でリースバックは、所有権移転と同時に賃貸借契約を締結すれば取引完了となりますので、手早く現金化できます。
リースバックのデメリット
今までは家主として住んでいたものが、借家人となることから、次のようなデメリットが生じます。
リースバックでは、将来にわたって家賃を払い続けなければなりません。
家賃が元々の住宅ローンの支払いよりも高くなる場合も多いため、長期間住み続けると支払い総額が大きくなり、最終的には家を売った金額よりも多く支払うことになる可能性があります。
リースバックによる賃貸借契約は、普通の賃貸借契約と同じように、期間が定められています(2年ごとの更新が多いです)。
更新のときに家賃が高くなったり、条件が変わることもあるため、注意が必要です。
また、途中で所有者が変わって立ち退きを求められる場合もあるため、将来のリスクも考えておくべきです。
買主がその不動産に住むことができないため、リースバックでの売却価格は通常の相場よりも安くなる傾向にあります。
リースバックと普通の売却、どっちが良いの?
ここまでは、リースバックのメリット・デメリットについて解説しました。
では、どのような人がリースバックを選ぶべきなのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
リースバックが向いている人
リースバックは、家賃を払い続けるため、将来的に売却額よりも多くの賃料を支払うリスクがあります。
裏を返せば長く住む必要が無い人にとっては、手間なく不動産を現金化できるため、ぴったりの方法といえるでしょう。
近々施設に入居する予定がある場合等はリースバックが向いています。
高齢者にとって、環境の変化は大きな負担となります。
高齢者の9割は現在の住居に満足しており、体が弱っても自宅に留まりたい人が多いという調査結果もあります。
生活環境を変えたくない人にとってリースバックは有効な手段です。
出典:内閣府「高齢者の日常に関する意識調査(平成21年)」
リースバックは通常の売却よりも早く現金化することができます。
急にまとまった現金が必要になった人や、引っ越し費用の捻出が難しい人は、リースバックで現金化し、資金繰りが落ち着いてから次の引越し先を検討するのも良いかと思います。
通常の売却が向いている人
リースバックは、売却後住んでいる期間が長くなるほど、出費がかさむことになります。
まだまだ長生きする予定の人は、通常の売却を選んだほうが手残りが多くなるでしょう。
リースバックは、購入者が売主と賃貸借契約を締結する特殊な取引ですので、通常の売却よりも価格が低くなる傾向にあります。
少しでも高く売りたい方は、通常の売却方法を選びましょう。
お若い方や心身が健康な方は、面倒臭がらずに引っ越し先を探して通常の売却方法で進めましょう。
環境が変わっても、まだ頑張れるはずです。
リースバックの手続きの流れ
リースバックは通常の売却と手続きの流れが少し異なります。
ここでは簡単にポイントとなる部分を解説したいと思います。
不動産会社から売却価格とリースバックの賃料の提案があります。
不動産会社に売却を依頼し、買主を探索してもらいます。
買主が見つかり条件が揃えば、売買契約を締結します。
契約後、買主の資金準備ができ次第、所有権移転と残代金の支払い、賃貸借契約の取り交わしを行います。
手続きのポイント
通常の売却と異なり「賃料」と「売却価格」2つのシミュレーションが必要です。
また、所有権移転と同時に賃貸借契約を取り交わす点が大きな特徴です。
リースバックは特殊な取引な為、経験豊富な不動産会社へ相談することが重要です。
まとめ
自宅を売却するリースバックは、家を手放さずに現金を得られる便利な方法ですが、家賃が長期間かかり、最終的には売却金額以上に支払うことになる可能性もあるため、慎重に考える必要があります。
特に、家賃の値上がりや契約内容の変更についても予測し、リースバックを選ぶ際には自分の生活や将来の支出をしっかりと計画することが重要です。