権利証をなくしたら不動産は売れない?売買時の対応と3つの方法を実務で解説

「権利証」は不動産売買において、最も重要な書類です。
不動産の名義を買主に変更するときに、権利証をもって売主が登記名義人であることを証明します。

そんな大切な権利証。もし失くしてしまったらどうすればよいのでしょうか?
今回は権利証が見つからず困っている方のためにお助け情報をご紹介したいと思います。

目次

権利証がなくても不動産売買は可能?売るための3つの方法

権利証とは?

権利証は、土地や建物の所有権を証明するための重要な書類です。
ここでいう「権利証」とは、登記済証のことを指します。
不動産の所有権を取得すると、法務局がその権利を証明する書類を新しい所有者に発行します。

「所有権移転登記が完了しましたよ」ということを証する法務局の印鑑が押された書類です。

権利証がない状態での不動産売買はあり得る

権利証がない場合の具体例
  • 紛失した
  • 建物を解体したときに行方知らずになった
  • 分筆した土地
  • 債権者代位(差押)による相続登記

通常、不動産売買では権利証の原本を提示することで登記名義人であることを証明します。
実務上、不動産会社からは「絶対に必要です」と言われると思います。
ただ、権利証が手元にないというケースはごくまれに存在します。

執筆者 宮下峻

不動産売買を10年やって、過去に2回だけ遭遇したことがあります。

権利証が手元にないときの売買方法

3つのパターン
  • 資格者代理人による本人確認 (費用:10万~15万円×所有者の人数)
  • 法務局で事前通知書を取得する (費用:無料)
  • 公証人役場で本人確認証明をしてもらう (費用:数千円)

結論:「司法書士(資格者代理人)による本人確認」が最も現実的です。

資格者代理人による本人確認とは、移転登記を担当する司法書士が所有者と面談を行い、法務局に提出する本人確認情報を作成する方法です。
この方法であれば、所有者が事前に郵便を出したり、公証人役場に出向いたりしなくて済みます。

事前通知と公証人役場の方法は、所有者が自分で手続きを進めなければなりません。

権利証を失くすと、周囲からの信用度はどうしても下がってしまう面があるので、資格者代理人による本人確認を取引関係者からお願いされることになります。

権利証が無い場合の手続きの流れ

まずは落ち着いて、もう一度探してみてください

権利証は表紙からして見るからに重要そうな装丁がされていて、誤って捨ててしまうということはまずありません。
もう一度隅々まで探してみましょう。
また、権利証は2種類ありますので気を付けましょう。

平成17年3月以前の権利証
平成17年3月以降の権利証

権利証(登記済証)

登記識別情報通知

平成17年(2005年)3月に、権利証は電子化され、登記識別情報通知に変わりました。
不動産を取得した時期によって書類の名称が異なりますので気を付けましょう。

「登記識別情報通知」は、A4用紙1枚の形式で、封筒の中に保管されていることが多いです。
表紙がないため、気づかずに別書類と一緒にしまい込んでいるケースもあります。

不動産会社に、権利証がないことを伝えましょう

どうしても見つからない場合は、不動産会社に権利証が手元にないことを伝えましょう。
本人確認の3つの方法のどれを選ぶかは、不動産会社の指示に従いましょう。
不動産会社に伝えるタイミングが早ければ早いほど、費用のかからない方法を選びやすくなります

円滑な取引が何よりも重要です。

よくある質問

権利証がなくても売買できますか?

可能です。資格者代理人による本人確認、法務局の事前通知、公証人の本人確認証明で代替できます。

どれを選べばいいですか?

司法書士方式が現実的です。取引関係者の指示に従いましょう。

費用はいくらかかりますか?

司法書士の本人確認情報は10万~15万円/名義人1人が目安です。事前通知は原則無料ですが、日数を要します。

どれくらい時間がかかりますか?
  • 資格者代理人による本人確認:20分程度(要事前予約)
  • 法務局の事前通知:数週間(郵送のやり取りがある)
  • 公証人の本人確認証明:2~4週間(事前予約や必要書類の準備状況で変動)

まとめ

今回は権利証が手元にない場合の対応策についてご紹介しました。

権利証が無くても不動産売買は可能ですが、費用が掛かります。

捨ててしまう人は滅多にいませんので、「絶対にどこかにある」と気合で探してみると、思わぬところから出てくるかもしれません。
そして、どうしても見つからないときは早めに取引関係者に伝え、指示に従うことが重要です。

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※本記事は一般的な手続きのご案内であり、個別案件の最適解は物件・名義・日程により異なります。司法書士・税理士等の専門家と連携し、最適な方法をご提案します。

著者:宮下 峻

執筆者 宮下 峻

株式会社TERASS/宅建士/不動産売却専門

日々の売却サポートで得た実務経験を踏まえて、読者の方に役立つ情報をお届けします。

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