不動産の名義変更に必要な書類と注意点|売買・相続・贈与・離婚・住所/氏名変更まで一括解説

不動産の名義変更(登記名義の変更)は、「登記原因(なぜ名義が変わるか)」によって必要書類が変わるのが最大のポイントです。本記事では、売買/相続/贈与/離婚(財産分与)/住所・氏名変更の5ケースに分け、必要書類チェックリスト・流れ・よくある落とし穴を実務目線で整理しました。

まずは結論
  • 必要書類は登記原因ごとに異なる(売買と相続では書類が全く違う)
  • 共有名義権利証(登記識別情報)が不明だと、追加手続きや費用・日数が増えやすい
  • 早めに司法書士へ相談すると、不足書類の洗い出しとスケジュール設計がスムーズ
目次

売買で名義変更する場合(所有権移転)

売買は「売主→買主」へ所有権を移す登記です。決済日(引渡し日)に合わせ、司法書士が当日申請できるよう事前準備を整えます。

必要書類(売主側)
  • 登記識別情報通知(権利証)
  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート等)
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 住民票または戸籍の附票(住所変更登記未了の場合)
  • 抵当権抹消書類(ローン残債がある場合)
必要書類(買主側)
  • 本人確認書類
  • 印鑑(シャチハタ不可)
  • 住民票
  • 実印/印鑑証明書/抵当権設定書類(ローン利用時)

相続で名義変更する場合(相続登記)

相続は相続関係を証明できる資料が中心。遺言の有無や協議の有無で必要書類が変わります。

必要書類(典型例)
  • 被相続人の戸籍一式(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍・住民票
  • 遺言書(ある場合)または遺産分割協議書(相続人全員の署名押印)
  • 登記識別情報(または権利証)(見当たらない場合は代替手段を検討)
  • 固定資産評価証明書(登録免許税算定に用いる)
  • 相続関係説明図(作成推奨、添付で戸籍の返却可)

相続人が複数いる場合は、全員の合意・押印が必須。1人でも欠けると登記が進みません。

贈与で名義変更する場合(所有権移転)

無償で権利を移す登記。贈与契約書の整備と、税務(贈与税)の確認が重要です。

必要書類(典型例)
  • 贈与契約書(日付・当事者・物件特定・贈与の意思表示)
  • 登記識別情報(または権利証)(贈与者側)
  • 贈与者・受贈者の本人確認書類・住民票
  • 固定資産評価証明書

控除や特例の適用可否は年により変わるため、税理士確認を推奨します。

離婚(財産分与)で名義変更する場合

財産分与に基づく所有権移転。合意の証拠性確保のため、公正証書化が望ましいケースもあります。

必要書類(典型例)
  • 財産分与に関する合意書(可能なら公正証書)
  • 登記識別情報(または権利証)(移転元)
  • 当事者の本人確認書類・住民票
  • 固定資産評価証明書

住宅ローンが残っている場合、金融機関の同意やローン条件変更が必要なことがあります。

住所・氏名変更登記(名義人情報の更新)

所有者の住所・氏名が変わったときに行う登記です。売買や相続の前提として先に済ませると、後工程がスムーズになります。

必要書類(典型例)
  • 住民票(住所変更の履歴が分かるもの)
  • 戸籍の附票・戸籍謄本(氏名変更の根拠)
  • 本人確認書類

旧登記住所と現住所が離れている場合は、住民票の除票や戸籍の附票で住所履歴の連続性を証明できるように準備しましょう。

手続きの流れ(共通ステップ)

  • ① 登記原因の確定(売買/相続/贈与/財産分与/住所氏名変更)
  • ② 必要書類の収集(ケース別チェックリストで漏れを潰す)
  • ③ 事前確認(共有者の同意、抵当権の有無、権利証の所在)
  • ④ 司法書士による申請準備(委任状・登記原因証明情報の整備)
  • ⑤ 登記申請(オンライン/窓口)→ 補正対応 → 完了
  • ⑥ 登記完了後の書類受領・保管

登録免許税は登記原因・不動産の評価額によって異なります。具体額は最新制度を司法書士・税理士へ確認してください。

よくある落とし穴と対処

落とし穴チェック
  • 権利証(登記識別情報)が見当たらない → 司法書士の本人確認情報事前通知で代替
  • 共有者の連絡がつかない → 早期に連絡網整備。実印・印鑑証明の準備に時間がかかる
  • 住所の相違 → 住民票・戸籍附票で履歴を整合
  • 抵当権が残っている → 抹消手続きと同時進行。金融機関との段取り必須
  • 評価証明書の年度 → 申請時点で最新年度が必要なことがある

書類集めからお手伝いします

新宿区を中心に、一都三県の名義変更のご相談に対応。司法書士・税理士とも連携し、ケース別に最短ルートをご提案します。

よくある質問

名義変更は自分だけでできますか?

登記原因証明や共有者対応・抵当権など専門的な実務判断が多く、司法書士に依頼する方が安全です。

どれくらい期間がかかりますか?

書類が揃っていれば数日〜数週間です。書類の収集状況や共有者の人数、金融機関対応の有無で変わります。

権利証が見当たらないのですが...

代替方法があります。権利証が無い場合の対処法もご参照ください。

本記事は一般的な手続きのご案内です。税務・法務は個別事情で結論が変わります。必要に応じて司法書士・税理士等の専門家をご紹介します。

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著者:宮下 峻

執筆者 宮下 峻

株式会社TERASS/宅建士/不動産売却専門

日々の売却サポートで得た実務経験を踏まえて、読者の方に役立つ情報をお届けします。

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